会長あいさつ

第155回日本獣医学会学術集会
会 長  尾 崎 博
(東京大学大学院農学生命科学研究科教授)

 このたび、第155回日本獣医学会学術集会を平成25年3月28日より30日までの3日間、東京大学駒場キャンパスで開催させていただくことになりました。獣医学会会員をはじめ多くの皆様にご出席をお願いいたしたく、ご案内申し上げます。

 獣医学教育を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。 40年に渡って悲願としてきた獣医学教育改善運動が具体的な歩みを始めたからです。その1つがモデル・コア・カリキュラムによる教育指針の策定です。これは国内の獣医学教育のボトムアップを主眼としたもので、均一化を目的としたものではありません。教育内容の1/3はadvancedとして、各大学、各教員の意匠に委ねられています。また、財政危機を克服するために国会で消費税増税法案が可決されましたが、これで文教予算が賄われるわけではありません。6月には、文部科学大臣名で大学改革の指針が示されました。これは2001年に発表されたいわゆる遠山プランと重なるもので、長年の課題を改めて示したものといえます。新聞には、「予算配分メリハリ、大学を淘汰」などという文句が踊っています。「アメとムチ」で淘汰を促すスタンスは国立大学だけではなく、私立大学にまで及ぶ厳しいものです。もはや、「全て一律に」という考え方は、過去のものとなりつつあります。

 ヒトを対象とした医学に対して、獣医学は様々な動物を対象としています。さらに、様々な動物の総体、つまり「環境」に関する科学においても獣医学が果たすべき役割は増大しつつあります。このように獣医学は元々「多様性」を内包する科学であり、この「多様性」をどのようにダイナミックに発展させていくか、これが私たちに課せられた大きな課題ではないかと思います。

 さて、本学術集会では獣医学の多様性を俯瞰することをテーマとしてみました。1つ目の多様性は、例年のことではありますが、学会傘下の各学術団体からご提案されたタイムリーな多様な企画です。それに加えて、司宰機関で特別講演を複数予定させていただきました。もう1つの多様性は獣医師の性の多様性です。つまり、男と女です。入学者の半数を女子学生が占める一方で、それら女性獣医師にスポットライトが当たることはこれまでほとんどありませんでした。しかし、周りを見回すととてもたくさんの女性が獣医界で活躍されています。そのような女性たちを紹介するシンポジウムを企画しました。学会員だけではなく、多くの学生、とくに女子学生に気楽に聞いてもらいたいと願っています。

 研究と教育は一体であり、獣医学会の果たす役割はますます大きくなるでしょう。そこで女性の力をもう少し意識すれば、さらに大きな力が発揮できるはずです。本学術集会開催を通じ、日本獣医学会の発展に少しでもお役に立てればと思います。改めて、多くの方々のご参加をお願いしたいと存じます。

    

メニュー